

タコメーターが故障して…
…あれは2011年10月18日、総走行距離は97,443km。
レクチファイア(整流器)という部品の故障に見舞われました。
この部品の故障により、電球を含む電気で作動する「全て」の部品が壊れ、最後は高速道路上でエンジンも息絶えて、トラックに載せて現地のバイクショップに緊急搬送入院となりました。

被災した電気部品の一つが、このタコメーター。(=写真の右側のメーター)
発売から20年経過し、この部品だけは欠品。メーカー在庫はありませんでした。(ガーン!)
とりあえずタコメーター以外はバイクショップで全て修理が完了し、オートバイとしての走行は可能な状態には復旧して、その後の車検もパス。
もしこれがスピードメーターの故障だったら、きっと車検は通らなかった事でしょう。
10万km走破の大目標も、あと一歩のところで潰えるかもしれないところでした。
しかし、…なのです。
走行中にタコメーターの針が動かないのは、こんなにも「淋しい」とは。
何と言うか、大切なパートナーが病気で声を失ったような感じ。
言葉以外でもコミュニケーションは充分に可能だけれど、言葉で確かめたい事もある、みたいな。
「クリープを入れないコーヒーなんて、タコメーターの動かないバイクのようなもの」なのです。
「タコメーターのないバイクだってたくさんあるじゃないか」と自分に言い聞かせても、「あったモノを失った」という心の隙間はなかなか埋まりませんでした。
以下は、復旧までの記録です。
目次(その項目へジャンプしたい場合はクリックして下さい)
旅先でレクチファイアが壊れると?
故障したレクチファイアという部品には「エンジンが発電した電気の整流」、つまりエンジンの回転によって大きく変わる電気の量を一定内に整えて車両に供給する、という役割があります。
従ってこれが壊れた状態で走行を続けると、過剰な量の電気が車体に流れ続けて、電気部品が次々と「被災」していきます。

ちなみに被災したタコメーターの針を動かす電気回路は、このように焼け焦げていました。(右側中央付近)
あー…、これじゃダメだわ。
具体的な発症の経緯はこうでした。
- 前日まで回っていたセルモーターが回らなくなる
- バッテリーから電解液(希硫酸)が溢れて噴出する
- バッテリーは触れない程に熱くなる
- ヘッドライトやテールランプが点灯していない事に気付く
- エンジン回転を上げると、メーターパネルの照明球が壊れる(切れる)
- 水温計の針がピンピンと異常に動いた後に壊れて、おまけにパネルも溶ける
- (タコメーターもこの辺りで息絶えたかも…不明)
- 2時間位は走行、最後はエンジンが点火しなくなり走行不能に
- この状況でも、ヒューズは最後まで一つも溶断せず
明らかに異常である上記の[2]の症状に気付いたのは、150km先の自宅を目指して帰る途中。
「電装がヤバそうだから暗くなる前に早く帰ろう」という判断に、その時はなりました。
今思えば、ここで走行を中断して点検修理を受ける事が出来ていれば、レクチファイヤーとバッテリーの交換くらいで復旧できたのかもしれません。
あの時の判断は仕方なかったとは思いますが、悔やまれるところです。
【その1】メーター交換 (2012年5月)
【その1】って事は、このチャレンジは成功しなかった、という事です。お粗末ながら。
でも色々と発見もあり、価値はありました。
入手したメーター部品はセカイモンというオークションサイト経由で即決落札して輸入しました。
輸出国はイギリス、内容は以下の通りです。
- 適合型式: 1997年式(=Transalp 600VR用)
- 部品の落札価格: ¥2,700(20ポンド)
- 輸入代行手数料: ¥1,310
- 輸入配送料: ¥4,195(着払い)
適合型式については
本当は600VR用ではなく600VN用が一番近い型式になります。
(私のは400VN。ヨーロッパでは免許制度の理由で400ccが存在しないので600VN)
VRはVNの2年後に発売された「マイナーチェンジ版」
カラーリングやデザインの一部は異なるものの、殆ど一緒。
今回の修理は、タコメーターの最小限の「制御部品だけ」を移植する計画なので、車体の型式が違っても部品は同じだろう、という前提でのトライです。
下の写真をクリックすると、説明付きの写真を別ウィンドウで順に表示させる事ができます。







(作業日:2012.5.5)
…という事で、残念ながら復旧には至りませんでした。
でも、ネットオークション初体験を含めて、久し振りに色々と試行錯誤してみて面白かったです。
また、失敗しても自己責任なので不思議とイライラする事もありませんでした。
トランザルプは、日本とは違ってヨーロッパ市場では人気車種なので、次のチャンスは同じセイカモンで600VN用の部品が出品された時になると思っていましたが、イギリスからの場合は出品されていてもセイカモンでは代行してくれない場合があります。
(実は今回そうだった。代行してくれる出品からの選択で妥協して600VR用になった)
その場合は見送るか、若しくはセカイモンを経由しないで直接イギリスのオークションサイトに参加を試みるか、・・・そんな事をこの時点では考えていました。
【その2】メーター修理 (2012年6月)
上記【その1】のてん末を知ったTwitter上の知り合いの方から、
日本計器サービス
という会社の存在を教えてもらいました。(ちなみにその人は、以前に400VNに乗っていたそうです)
その謳い文句はズバリ、『どんなメーターのリペアもお任せ』。
本格的な修理を依頼すべきか多少考えましたが、希望があるならと思って修理依頼を決断しました。
さて、その結末は…「
修理は不能、原因は不明
」だそうです。
「全ての部品をチェック・交換したが直らない」との事なのです。
原因不明ってとこが、かな〜りガッカリ。
故障したという事は絶対に原因があるはずで、つい疑心暗鬼になってしまうのですが、素人のこちらは受け入れるしかありません。
経緯の概略は下表の通りです。
No. | 月 日 | 内 容 |
---|---|---|
1 | 5月19日 | 日本計器サービスに相談。 |
2 | 6月1日 | メーターをバイクから外して日本計器サービスに送る。 |
3 | 6月11日 |
日本計器サービスから「故障原因は基板上のICチップであると思われる」との連絡。 その理由は「他の部品は全て交換・点検したのに直っていないから」 |
4 | 6月11日 |
原因と指摘されたICチップ(この写真)をネットで探し、個人手配する。 理由は、日本計器サービスにはパーツ在庫がなく手配もしないから。 |
5 | 7月5日 |
個人手配したICチップが自宅に届く。 翌日に日本計器サービスセンターに郵送する |
6 | 7月19日 | 日本計器サービスから「修理不能・原因不明」の連絡。 |
7 | 7月21日 | 日本計器サービスから、メーターが返却される。 |
8 | 7月22日 | 直らないまま、メーターをバイクに装着。 |
上記【その1】のメーター交換チャレンジも、結論としては失敗に終わりましたが、「イライラする事はなかった」と書きました。
それは全てが自己責任で、納得のいく結果だったからです。
一方でこの【その2】は実にイライラさせられる事ばかり!
特に注目は、上表の「No.4〜5」と「No.5〜6」。
やたらと時間がかかっているでしょう?
一体何があったのか?
それは
こちら!
上記のたった8段階を経るために費やした約2ヶ月間。
バイクを動かせなかっただけに、とにかく長く感じました。
【その3】メーター再交換(2013年4月)
上記【その2】のドタバタで、精も魂も尽き果てた感がありました。
日本向けの生産台数は600台そこらであろう20年以上前のマイナー車種のタコメーターなんて、探し当てられるのか?
何とか復旧させたいという希望とは裏腹に、諦めかけて何もせずに放置していました。(根性なし)
…そこに突然の救いの手が。
前述の「日本計器サービス」の存在を教えてくれた人が、今度はなんと「国内のネットオークション(ヤフオク!)にメーターが出品されいる」との情報を寄せてくれたのです。おぉっ・・・!
出品価格は¥9,800(送料¥1,200)。
純正部品の定価(1992年)を調べてみると¥36,100。タコメーターの単体パーツでは¥15,500。
・・・というか、もう価格の事は重要ではないのです。買わない手はありません。
型式は紛れもなく同じなので、今回は適合性の心配もありません。
下の写真をクリックすると、落札から修理完了までの説明付きの写真を別ウィンドウで順に表示させる事ができます。
(作業日:2013.4.6)
1年半前の故障からの道のり全体を振り返ってみると、費用と期間はとてもかかってしまったけれど、今となっては「終わり良ければ全て良し」。復旧して本当に良かった。
こういう事は、諦めずにネットオークションのキーワードアラートを設定しておけば良いのか、なるほど。それも今回学びました。
それにしてもここまでの紆余曲折、まるでデザートバー装着の時のドタバタを彷彿とさせます。(苦笑)
最後に。
本件に関して情報提供や励ましをくださった人たちに改めて感謝の意を表します。
ありがとうございました!

