

エピソード(CT125 ハンターカブ)

2020年の夏。ホンダからのニュースレターの記事を見て、ビビビッ!と一目惚れ。
まさか自分が125ccに返り咲くとは。意外な展開でした。
目次(クリックするとこのページの各項目へジャンプします)
購入までの経緯
29年間も所有し続けてきたトランザルプには、強い愛着を持っていたけれど、さすがに老朽化による「潮時」を感じていました。
そして、「バイクに乗らない生活」にストレスを感じなくもなっていました。
つまり、自分にとっては「ライダー引退」か「買い替えて現役復帰」かの分かれ道だったわけです。
そんな状況で、現役復帰を決断するほど「欲しい!」と思えるオートバイが、販売されているか。
(中古車は想定外)
欲しいオートバイが、買いたい時に販売されているとは限らない。
そして、自分が欲しいと思うオートバイが、ずっと同じとも限らない。
憧れやステータスという点では、昔から候補は「アフリカツイン」。
トランザルプを買う時は運転免許の理由で買えなかったけど、今なら免許もあるし。
しかし、なのです。
何かこう、今の自分が買った後に夢中になっている姿が想像できない。
排気量1000ccで約150万円というハードルを越える意欲も湧かず。
では、排気量と車体価格のランクを下げて探してみると、その時は250ccクラスでスズキのV-Storom250(カタログ)が良さそうに思いました。
カタログを取り寄せたりしてみたものの、「こういうのが欲しかった!!」というよりも「トランザルプから買い替えるなら、今の候補はこれくらいしかない」という感じ。
やはり買った後に夢中になる自分が想像できず。
むしろ全く新しいスタイルとして、トリシティ125(カタログ)なんて、個性的で面白そうだなぁ、と思ったりもして。
それとかクロスカブ110(カタログ)とかも。気軽に乗れて、スクーターと違ってオートバイらしさが残っているあたりがいいな、と。
そんな「なんとな〜く」気分が盛り上がり始めた私の前に、タイミング良く現れたのがCT125・ハンターカブ。
とにかく前述の候補のオートバイよりも、「格段に」ビビッ!ときたんです。
まさか自分が再び125cc、しかもAT小型免許でも乗れるカブシリーズ!?
ところが、カブシリーズ独特の変速操作やその仕組みを知ったら、逆に面白そうに思えてきました。
そうです。
このCT125・ハンターカブは、買った後に夢中になる自分が想像できたのです。
そしてその気持ちはついに、29年間も所有し続けてきたトランザルプを買い替えるに値するレベルにまで上昇し続けたのです。
いざ、購入!…しかし。
2020年11月21日、トランザルプに別れを告げた直後に、そのまま自転車でバイク屋へ。
そして、初めて訪れたそのバイク屋で、CT125・ハンターカブを予約しました。
トランザルプを手放す決心がつくまでは長くかかりましたが、そこからは速かった。
しかし。
購入を決断したら、今度はすぐには手に入らない状況に。
まず、CT125は空前絶後の大人気。
第46回東京モーターショー2019(10月23日開幕)でコンセプトモデルとして世界初出展されて注目を集めた後、2020年3月20日に市販化が発表され、なんと発売日(6月26日)の前に、年間生産台数の8,000台を上回る先行予約が入っていたそうです。
そしてさらに、新型コロナウイルスの影響で、工場(タイ)での生産と輸出の両方に大きな遅延が発生。
これにより、例えば私が注文をした2020年11月下旬は、その時点での新規予約に対しては「2021年6月以降の入荷」もしくは「ホンダが予約の受付を停止」という状況でした。
不幸中の幸いは、そのバイク屋が在庫用として9月15日に先行で予約した1台を確保できた事。
バイク屋から待望の連絡があったのは、約3ヵ月後の2021年2月28日(日曜日)。
入荷予定が2021年3月12日との事で、翌日の土曜日(=私の誕生日!)に納車可能だったのですが、その日は一日中「雨」。
という事で、3月14日が納車日となりました。
納期は、私にとっては3.5ヵ月待ち(メーカー発注後6ヵ月待ち)だった、ということになります。
新聞記事

納車から約5ヵ月が経った2021年8月20日(金曜日)。
日本経済新聞にこんな記事が。
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”ホンダ「カブ」の歯がゆい快走”
「人気があって売れるのに、入荷が少なく売れない」という状況は、私の納車の後も続いていたようです。
私の納車(発売日から8ヵ月後)の頃は、信号待ちなどで知らない人から声を掛けられたりした事もありましたが、その後はそういう事もなくなり、街中や出先でも見かける事も増えてきたので、てっきり納期問題も落ち着いてきたのかと思いきや、増産してもまだ需要に追い付かない人気ぶりのようです。
これには、新型コロナウイルス禍による輸送コンテナの不足や供給遅延の影響も大きいようで、ホンダの2輪車の販売を総合的に担う「ホンダモーターサイクルジャパン」からも、2021年8月5日付けで、Honda二輪車のお届け遅延のお詫びとお知らせの告知が、改めてWebサイトに出ていました。
私は、人気があるからCT125・ハンターカブを選んだわけではないだけに、こうして新聞記事になるほど注目されているのは、オーナーとしては単純に嬉しいものです。
そのうち、「犬も歩けばハンターカブに当たる」ようなる時代がそのうちに到来したりして。(…まさか)
不具合

【その1】:ナンバープレート脱落
バイク屋から帰宅したら、こんな状態。これは明らかにバイク屋での取付不備。すぐに戻って、直してもらいました。
2本目のネジも完全に緩んでいたので、もう少し走行していたらナンバープレートが落ちていたと思います。
せめてその前に気付いて良かった…。不幸中の幸い。

【その2】:ハンドルバランスウェイト固定不備
ハンドルバーの両末端に装着されている「おもり」の部品、どちらもクルクルと回ります。しかも左側の方は引っ張るとスルリと抜けました。
これも納車直後に気付きました。
バイク屋に報告したら、回るのは正常だが、抜けるのは固定部品(樹脂製)が破損している、との事。
すぐに部品を取り寄せて交換してもらいました。

【その3】:ブレーキの鳴き
1,900km程度走行したある日、前輪ブレーキを掛けた時に突然に大きな音が!それはもう、明らかに異常な大音量で、ちょっとしたクラクション並み。
鳴る頻度は、最初の頃は「時々」でしたが、ブレーキという重要な部分であるので、すぐにバイク屋に報告して、まずはブレーキパッドの「面取り」(角を削り落とす)をしてもらいました。
その後の500km位の走行では一旦は落ち着いたものの、再発。今度は再びブレーキパッドの面取りをしても直りません。
さらにブレーキパッド裏面とピストンの間に専用のグリスを塗ったり、スライドピンにシリコングリスを塗ったりしても鳴る頻度が増してきました。
この頃に感じた傾向としては、気温が高い時に鳴る頻度が高い感じもしました。だから盛夏シーズンは、もう朝から鳴る感じ。
次は、パッドを社外品に交換。音量はかなり小さくなったものの、すぐに同じ音質の”鳴き”が発生する場面もありました。
ブレーキパッド交換後は、新しいパッドとディスクの馴染みがまだ完了し切っていない事や、単に盛夏シーズンが過ぎて気温が下がってきた事が影響している可能性もあり、もう少し様子を見てみる覚悟でいましたが、その旨をバイク屋に相談したところ、残る構成要因として可能性のある「ディスク」を、保証対応(クレーム扱い)で交換してみましょう、という事に。
(2024年9月追記)
暑い時期には“鳴き”が再発するようになりました。
以前に相談したバイク屋は「ディスクブレーキは多少鳴きますよ」という対応。
んー、きっと想像されているのと違う気がする、あの大音量の“鳴き”。
でも、時々しか鳴らないのでバイク屋に分かってもらう事はできず、今は時々あの大きな“鳴き”が発生しても気にせずやり過ごしてます。
「カーボン噛み」と対策考察について
総走行距離9,323km、新車から1年半ほど経った2022年10月の事、エンジン始動後のアイドリングの最中に、ストンとエンジンが停止しました。
キックペダルで再始動させようとしたら、キックペダルの踏力は殆どなく「スッカスカ」。
これは症状から判断して、おそらく「カーボン噛み」でしょう。
「カーボン噛み」とは、エンジンの燃焼室に蓄積したカーボンの粒がバルブの隙間に挟まって圧縮が漏れてしまう症状で、小排気量の4ストロークエンジンで発生しやすい、とされています。
ついに我がハンターカブにも来たか!
その後は、キックペダルをひたすら何度も踏み込み続けていくうちにキックペダルの踏力が徐々に復活し、無事にエンジン再始動に至りました。
おそらく、一時的に噛み込んだカーボンの粒が運よく砕けて、燃焼室の圧縮が復活したんだと思います。

ちなみにこの時に交換したスパークプラグの状態はこんな感じ。この焼け具合やカーボンの付着具合がどうなのかは判断しづらいけれど…。
実は、それまでに何回か「謎のエンスト事件」はあったんです。
エンジンが低回転の時にストンと止まってしまう。
発進しようとする際に「息つき」して止まりそうになることも。
そのタイミングによっては、バランスを崩して「立ちゴケ」する危険もあるので、ちょっとした恐怖です。
そこで、この最後の「謎のエンスト事件」から2つ対策を実施することにしました。
対策その1:
洗浄系燃料添加剤の利用。
ガソリンタンクに時々それを足します。
これで、燃焼室のカーボンの洗浄効果や付着抑制が期待できるそうです。
ちなみに、洗浄された汚れはエンジンオイルの方に回るらしいので、エンジンオイル交換の前くらいに添加するようにしてますが、その記録は取りつつも、あまり厳密には管理していません。
対策その2:
エンジン低回転時に負荷がかからないようにする事。
エンジンの回転数が上がると音や振動も上がるので、あたかもエンジンに負荷がかかっているように思いがちだけれど、よく考えてみると、力が充分に発生する回転域(パワーバンド)よりも低回転の状態でガソリンを大目に燃焼室の送り込んで走らせる事の方が、実はエンジンに負荷がかかって燃焼状態が悪くなり、それが「カーボン噛み」を誘発する原因になるのでは?と思った次第。
この「対策その2」については、具体的にはまず停車状態から1速ギアで発進する時は、速度15km/h位までは負荷をかけずに「そろーり」と発進。(ただし周囲の交通状況によっては例外あり)
その後は、そろーりと回転数と速度を上げていきつつも、次に2速ギアにシフトアップした時のエンジン回転数がハンターカブのエンジンのパワーバンドより下回らない速度にまで1速ギアで引っ張るようにします。
ハンターカブの変速段数はスポーツ系オートバイより少ない4段で、特に1速ギアから2速ギアに上げた時のエンジン回転の落ち込みが大きいので、意識して長めに引っ張る感じ。
1速ギアで速度が30km/h弱位まで引っ張ると、2速ギアにシフトアップした後の加速がスムースに感じます。
その状態を
計算で求めた走行特性図
から見ると、1速ギアで最大トルク発生回転数である4,500rpmを大きく超える6,000rpm位まで引っ張ってから2速ギアに変速する感じ。
これだと確かに、パワーバンドの始まる3,500rpm位で2速ギアがつながり、その後の加速の際にエンジンに対する負荷が少なく感じられるようになります。
3速、4速ギアへのシフトアップのタイミングの考え方は基本的に同じ。つまり、加速でエンジンに負荷がかかる時のエンジン回転数が概ね3,500rpm以上になるようにすること。
このような回転数を下げ過ぎない走り方に改めても、無用にアクセルスロットルを大きく開けているわけではないので、 燃費 が悪化している事は全くありません。

そして、燃焼室に晒されているスパークプラグの焼け具合は、少しは改善されたような…気がします。
各変速ギア間でのエンジン回転数の差は、低回転域で変速する時よりも大きくなるので、エンジンの回転数を合わせないと変速ショックが生じやすくなるけれど、これについては変速ショックを抑えて上手に変速できた時の快感の方が優り、上手に走らせる事とその探求によって、むしろ走らせることが楽しくなる、というオマケ付き。
これを執筆している時点では、最後の「謎のエンスト事件」が発生してからの走行距離は約9,000km、1年半が経過しているので、それらの対策の効果があったのは間違いなさそうです
強いて言えば、2つの対策のどちらが奏功したのか(もしくは両方だったのか)の検証には至らないけれど、とにかく「謎のエンスト事件」は解決したので、良かった。

