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エピソード(トランザルプ400V)

TRANSALP 400V

買物には慎重な私でも、この時だけは「一目惚れ」でろくに実車を見ずに注文してしまいました。しかし私の目に狂いはありませんでした。とても良くできたオートバイだと思います。


購入までの経緯

オフロード(不整地)を走りたいというわけではなく、車体が大柄で乗車ポジションが楽そうだという理由でオフロード系のオートバイにはもともと興味がありました。特にホンダの[XL パリ・ダカールシリーズ](これとかこれ)のようなラリー仕様車には以前から憧れていました。
もしもこういうオートバイにセンタースタンドが付いてヘッドライトが明るくなったら絶対欲しいなぁ、と思っていたらついに登場しました!それがこのトランザルプです。

魅力

Transalp

それまでの車歴が50ccと125ccだった私にとって、400ccのトランザルプは低回転からモリモリとパワーが湧き出てくるし、トップギアのまま坂を登るし、と…とにかくスゴイ!スゴイ!(走行性能曲線の比較はこちら

オンロード系とオフロード系のオートバイの長所がそれぞれ見事に融和されている事も大きな魅力です。例えば多少の悪路でも肩の力を抜けばズンズンと前に進んでくれるし、高速走行時はカウルやナックルガードが身体への風圧を低減してくれます。
オフロード車のような高い位置にあるラジエーターは風の抜けが良く、カウル内に熱が溜まったり熱風が身体に流れてくる事もありません。また前輪からの跳ね上げで汚れる事もありません。
車体は大きいですがハンドル切れ角が大きいので意外と小回りも利きます。
まるでトラックを運転しているような気分になる車高の高さも、非常に爽快です。

思い出

学生時代の様に長期間の休暇が取れるわけでもなく、そんなに乗れないかも…と覚悟していましたが、なんのその。[CB125T]では4年で達成した地球一周(約4万km)は3年で達成し、予想を上回るハイペースで走り回りました。

流氷

トランザルプを購入して2年目、1993年の5月に北海道でこの景色に遭遇しました。

見渡す限りのこの景色、着岸した流氷です!(この年は珍しく流氷が戻ってきたのです)
この時の感動は一生忘れないと思います。

阿寒湖

この流氷がきっかけとなり、1993年から1999年は北海道に通い続けました。春の大型連休に行くので、新緑も眩しい東京を出発し、青森あたりで桜前線を追い抜き、行きつく先は凍結した湖、というパターンになります。
実際の移動距離以上の距離感を味わえるツーリングで、すっかり虜になりました。

キャンプ

また、前のオートバイ[CB125T]の時は寝袋だけの「野宿」でしたが、このトランザルプでの北海道ツーリングからは自炊道具とテントを持った「キャンプ」を始めました。

言わば「衣・食・住」を全て積んで移動するわけで、行動範囲も一段と広がり、どこでも好きな所に行けるような「自由」さが最高でした。

10万km走破

10万km

それは2013年7月28日 午後12時18分頃。
ついにオドメーターが一回りして「00000.0km」になりました。
所要期間は21年半(7869日)でした。

最初の5年間で6万kmを走破していたので、当初は「10年で10万km!」と目論んでいたのですが、9万kmから10万kmまでの1万kmに至っては、なんと5年半も費やし、大分遅れましたが無事に達成できて感慨無量です。
使用した燃料は4512リットル(52万7千円)でした。

一台のオートバイを永く乗り続けるためには、オートバイを長持ちさせる事はもちろん不可欠です。しかし仮にそのオートバイが永久に故障知らずだったとしても、本人の生活やモチベーション(意欲)が様変わりしてくるので、いつまでも乗り続けていられるかどうかは別問題なのです。
1台のオートバイで10万km走破。ついに達成です。恐らく最初で最後でしょう。

28年と10ヵ月と20日

始まりがあるものには終わりがあります。
2020年11月21日。バイク買取業者に引き取られる形でお別れしました。

お引き取り

引き取り手続きは電話一本。
自宅までトラックが来て、面倒な手続きは一切なし。
年式が古いので買取価格は付かず、手数料を払う形での引き取りでした。

引き取りはアッサリと1時間で済みましたが、それを決断して実行するまでは長かった…。

ウインカー劣化

2019年9月1日。久々に始動しようとしたけれどエンジンに火が入らず。そして、延命措置を施されていたリアウインカーのゴムステーも折れていて、私の心までもポッキリ折れた感じがしました。

その後は車体カバーを外すことすらせず、車検も通さず、完全に「放置状態」に。
つまり、引き取りの日を迎えるまでの1年2ヵ月間、悶々とした気持ちが続いて、ようやく決心に至った次第。
走行記録上では、5月4日に給油をしてからその9月1日までの間に20kmほど走行していますが、もはや記憶にはなく、「この走行が最後かぁ」という感慨は持たないまま終焉を迎えることになりました。

このトランザルプとの約29年間を回想してみると、次のような感じでした。

1991〜1996:
ツーリングと通勤(往復50km)にフル活用。
走行距離がグングン伸びて、最も活躍していた「黄金期」。

1996〜2000:
転職によりバイク通勤は終了。
北海道キャンプツーリングは毎年継続。
さらには安全運転講習会で運転技術を磨いた時期。

2000〜2004:
結婚を機にロングーリングは「卒業」。
バイク通勤が再開(往復26km)。
それまでの理想的だった保管環境が変わり、車体の劣化が進む。
 (=屋根無し、潮風による腐食・野良猫被害など)
メンテナンスで世話になっていたバイク屋が廃業。

2005〜2006:
バイク通勤が再び終了。
保管環境は屋根付きに改善。

2006〜2020:
10万km走破を目指して、少しづつ走行距離を積み重ねていった時代。
2013年に達成した後は、「最低限の維持のために動かす程度」に。




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