

ヘリコプター

ヘリコプターとオートバイって、常にバランスを保ちながら操縦するという点で共通していると思うのです。オートバイが好きな私がヘリコプターに「本能的な」魅力を感じたのは、そんな理由もあると思います。
2007年5月、本格派の室内用RCヘリコプターを「思わず」購入してしまいました。
何となくネットサーフィンしている途中で見つけてしまい、次の瞬間もう我慢を抑えきれずに2時間後には衝動的に買っていました。
(衝動買いへの)プロローグ
私が小学生だった昭和50年代、電動ラジコンカーを持っている友達が何人かいました。
モーター、バッテリー、タイヤなどを自分で選んで搭載し、友達同士で公園の広場で「ヒュルル〜ン!」と疾走させるのは何ともカッコ良かったです。
とても欲しかったですが、我が家では結局は買ってもらえませんでした。
ラジコンの事はその後は縁がないまま忘れていましたが、ある日テレビで観た超小型のリモコンカーに目が釘付けになりました。それがこの
デジQ
です。
忘れていた小学生時代の気持ちが爆発して、つい買っちゃいました。(2002年)
車長がたったの6cm程度の超小型の車体で、豪快にタイヤを滑らせながら室内を走らせるのは最高!完全に童心に戻って遊んでいました。
実際、私と世代の近い人にはやはり人気があったようです。分かる、分かる。
その後2006年、そんな私の心を再びグヮシッ!っと掴んだのがこの室内用ヘリコプター、マイクロマスターです。実勢価格¥6,000そこらで旋回だけでなく前進まで出来るという事で、私の気持ちは再び童心に戻って行くのでありました。
練習を重ねるうちに思い通りに「浮遊」させる事ができて、これはかなりの「快感!」であります。
しかしこのマイクロマスター、短期間でのモーターの故障が相次ぎ、販売店に出すと毎回その場で「新品交換」。約4ヶ月で5台目になりました。
ヒロボー製 X.R.B SR lama
前述のマイクロマスターも良く出来ていて、「旋回と前進が出来る」という事にはなっていますが、残念ながら「思い通りに」というレベルではありません。実際には、壁に当たらない限りフワフワと浮遊させる事は出来ても、例えば目標地点に着陸させるなどという事はちょっとムリです。
だから操作に慣れてくると「操縦性能」に限界を感じるようになってきました。
また「すぐに調子が悪くなる」という事に対しても、徐々に不満を感じるようになってきました。
そんな私を「待ったナシの衝動買い」へと駆り立てたのが、このヒロボー社製[X.R.B-SR lama](以下、XRB)です!
マイクロマスターで感じた限界や不満は、こいつで全て解決です。
空中での抜群の安定性も去ることながら、今度は前進だけでなく、後進や右左の移動もOK!
つまりどんな方向でも移動可能。あとは自分の技量次第なのです。
もちろん、細かい各部品単位での調整や交換は自分で可能です。
調子が悪い状態で飛ばすのは当然ツマラナイですが、なにせ空を飛ぶ代物ですから、ちょっとした接触や墜落で調子が狂うので、正しく「遊ぶ」にはメンテナンス性は重要なのです。
ヘリコプターが自在に飛べる仕組み
自分で操縦するにあたり、その仕組みを知った時は、まるで手品のタネを知った時のように目からウロコが落ちました。正確に表現しようとすればするほど複雑な説明が必要となり、簡潔にまとめるには執筆に難儀しましたが、とっても勉強になりました。
まずは飛ぶ原理ですが、私はてっきり「大きな羽根で風を吹き下ろして飛ぶ」と思っていました。正しくは「翼」に風を当てる事で発生する「揚力」で浮くのです。飛行機が飛ぶのと一緒です。
確かに翼の形状は、扇風機などの「羽根」というよりは飛行機の「翼」に似ています。
翼に風を当てる方法が、「翼ごと機体を進める」のか「翼自体を回転させる」のかの違いなのです。だから、飛行機は分類上「固定翼機」と呼ばれ、ヘリコプターは「回転翼機」と区別されます。
機首の向きを変える「旋回」は、機尾のローター(小さい回転翼)による制御が主流ですが、XRBでは機尾ローターはダミー(飾り)です。
XRBでは2組の主翼の「反動力の差」で向きを変えます。(同軸反転方式)
水平移動の仕組みは実〜に巧妙で複雑。感動すら覚えました。
なんと、周回している翼の傾斜角度が変えられるようになっているのです。
周回する翼の傾斜角度を、例えば機体の「後側で大きく」「前側で小さく」という事が出来るのです。
機体に対して左右も同様に翼の傾斜角度が変えられるので、前後左右を組み合わせればどの方向にも機体を水平移動させる事が可能です。
「翼の傾斜角度が変わる」という事は翼を持ち上げる「揚力」が変わるという事なので、揚力の変化に伴って機体が傾こうとする力が発生します。
(注:方向についてはジャイロ効果を考慮する必要あり)
浮遊状態のヘリコプターの機体に傾けようとする力を加えると、傾いたまま浮遊し続ける事は出来ないので、傾こうとする方向に機体が進んでいく、という仕組みなのです。
これらの各操作を連動させる事で、「全ての方向」に動く事ができ、バランスを保つ事で空中での静止さえも出来ます。これがヘリコプターの最大の魅力と醍醐味でしょう
説明しきれなかった仕組みもまだあるのですが、大体の基礎はこんなところです。
知れば知るほど「よくまぁこんな仕組みを思いついたもんだ」と感心してしまいます。
購入約1ヶ月後のインプレッション
この室内専用ヘリコプター・XRBは「初心者でも練習すればすぐに飛ばせるようになる」というもので、確かに機体の挙動はマイクロマスターよりは格段にコントロールしやすいです。
しかし一般的に「ラジコンのヘリコプターの操縦は難しい!」のです。
例えばラジコンカー(車)と比べてみても、車では左右や上下に移動させる操作は無いし、いつでも停まる事が出来ますが、ヘリコプターは浮かせた状態で3次元の操作を同時に必要とし、着陸しないと停まれないのですから。操作する事がとても多いのです。
ましてや飛ばすのは限られた空間の「居間」ですから、室内用ならではの難しさもあります。
だから慣れるまでは、壁や家具への接触事故がよく起きます。
翼は柔らかい発泡スチレン製なので、壁や家具へのダメージは無いですが、ちょっとした接触でも間違いなく翼が「パッキリ」と折れます。絶対に。
翼は一枚¥100位ですが、4枚一度に飛び散った時はさすがにショックでした。
翼の破損は「消耗品」としてまだ割り切れますが、このテールローターとガードパイプの破損については、機体の後ろ半分を全部交換しないとならず、応急処置で済ませています。こういった損傷のリスクと闘いながら、上達を目指すところはバイクと似ています。挫けそうになる事も時にはあるのです。
練習を重ねて「ある関門」をクリアすると、一気に自在に飛ばす事が出来るようになってきます。
それは「機体の向きに関係なく正しい操作が出来る事」です。
ラジコンの場合、自分は操縦席にいるわけではありません。ちょっと想像してみて下さい。
例えばUターンして機体が自分の正面に向いた時、操作レバーを動かす方向は見た目の機体の動きとまるで逆になります。最初は正しい方向がとっさに判断できないのです。
接触・墜落事故の恐怖(?)と闘いながら、集中して繰り返し練習し、理論ではなく自分なりに脳ミソを訓練するしかないのです。これもバイクの練習と似ている気がしました。
でも、これさえクリア出来れば、後は一気に楽しい世界が待っていました。
接触事故も殆ど無くなり、健全に飛ばせるようになります♪
最初の一ヶ月間は転倒防止のは補助具(写真)を装着していましたが、もう不要になりました。
また、毎回このスペースの発着台まで戻ってきて安全に着陸させる事も出来るようになりました。もし転落したら翼の破損だけでは済まない可能性もあるので、適度に緊張しますが、これがまた心地よいのです。
仕様上は1時間余りの充電で15分位飛ばせる事が出来る事になっています。
マイクロマスターの飛行可能時間(約5分間)よりも長く、集中できる持続時間を考えると今のところちょうど良いです。

